小児科部長紹介

新しい小児科へ!

金 憲徳

  • EASE女性のクリニック 小児科部長兼任

小児科部長からのあいさつ

私が静岡県牧之原市の総合病院で小児科部長として勤務し始めた10年以上も前の話です。ブラジル国籍のお母さんがお子様の採血希望で小児科を受診してきました。iPhoneを見せながら採血項目を指定してきたので、通訳者を介しながらお話を聞くと、ブラジルでは国外に出た出稼ぎ家族のためにスマホのテレビ電話で遠隔診療を行っている専門病院が多いとのこと。お子さんは発達障害の児で、その原因を知りたくてブラジルの発達専門医に相談したところ日本の総合病院に行って指定した項目について採血してもらいその結果を知らせるように指示を受けたのだそうです。この時、地球の裏側に住む患者の診療を、スマホを利用して普通に行われている世界の現実に目が覚めるような衝撃を受けました。私にとって、『地元のかかりつけ医』という概念がくずれた瞬間でした。

それから10年。コロナパンデミックが始まり、「人との接触を減らす」という名目で日本でも条件付きながら遠隔診療が可能となりましたが、世界の医療現場はすでにAI時代へと突入していました。人の全遺伝子(ヒトゲノム)は40年近い年月をかけて解読されましたが、2024年アメリカで、難治性癌患者の遺伝子をAIが20時間弱で解読し、複種類の治療薬候補を提示して実際に患者の命を救うことができたというニュースが流れました。あの時のブラジルママならば、今はきっとブラジルの専門医ではなくiPhone AIに真っ先に相談していることでしょう。AIの普及が日本の社会をどこまで変えるのか不透明ではありますが、こども達が成人しているころはAIが「かかりつけ医」となっている可能性は高いです。近未来の医療提供の姿を今のうちに模索していく必要があります。

AI研究が息吹き始めたころ、ちょうど私は医学部を卒業してAIの基礎となる生命体の中枢神経システムを研究していました。しかし、動物実験での研究に疑問と限界を感じた私は、7年後に大学職を辞して野に下り小児科の道を選びました。その後20年以上臨床に漬かりつつ災害医療活動や若手医師の臨床教育、コロナ対策等にも携わってきましたが、研究していたころの切羽詰まった夢を今でもみることがあります。そんな時、巡り合ってきたこども達の顔を思い出すようにしています。医学生のころからアルバイトしていた中学受験塾の教え子達の怒られた時の困惑顔、両親に遺棄され生まれた時から福祉施設で暮らしていた男の子のいつも何かを探している顔、両親と一緒に最期まで看取ってきた重度心身障害児達のこぼれる笑顔、母親に刃物をちらつかせたがために3か月もの間一緒に病院で寝泊りした女子中学生の大泣きの顔。そして、灼熱のバスの中で息絶えた3歳の千奈ちゃんの最期の顔! あなた達の顔をAIはどう判断するのだろうか? あなた達こそAIでは教えてくれない「命」の教科書そのものであり、あなた達に認めてもらうために今日も小児科医師として踏ん張っている私です。

2025年、EASEこども外来は新しく変わります。一つ目は、受精から2歳ごろまでの成長がその後の健康を左右するという「人生最初の1000日間」の重要性を鑑み、この期間の健診や検査を充実させて予防医学の視点を小児科に導入しました。二つ目は、将来に向けて頑張っている中学受験生やジュニアアスリート達のヘルスプロモーションに特化した外来を新設しました。そして三つ目は、思春期到来の低年齢化の現状に則し、思春期早期の女子専用の外来を特設しました。小児科(小児外科)・婦人科・女性内科のコラボにより女性の一生を支えていくというEASEの総合診療科構想が一歩前進したことになります。今までと同様、発熱や嘔吐といった急な病気の対応はもちろんのこと、社会の変化が激しく一寸先は不安だらけの現代だからこそ、一人一人のこども達が将来タフに逞しく生きていけるよう、手厚く時間をかけて現在の問題点を解決していくスタイルでいこうと思います。

子供たちが、この広い世界で、人種・性別・宗教・国籍・疾患に差別されることなく、人間として生きている鼓動を全身に感じながら過ごせますように。

2025年 3月末日 EASEこども外来 部長 金 憲徳

略歴

1998年3月 東京医科歯科大学(現東京科学大学)医学部医学科卒業
1998年4月 東京医科歯科大学院大学(現東京科学大学大学院)認知行動医学系システム神経科学中枢神経解剖学科入学
2002年3月 同上単位取得退学
2002年4月 東京医科歯科大学院大学(現東京科学大学大学院)認知行動医学系システム神経科学中枢神経解剖学助手
2005年12月 医療法人徳洲会 千葉西総合病院小児科入局
2010年4月 医療法人徳洲会 千葉西総合病院小児科部長就任
2015年12月 医療法人徳洲会 榛原綜合病院小児科部長就任
2020年2月 医療法人徳洲会 榛原総合病院副院長兼任
2024年11月 EASE女性のクリニック 小児科部長就任

業績(学会発表、講演、メディア取材を除く)

英文雑誌

  1. Kazuyoshi O, Kentoku K, Yasuhisa N. Fos expression in afferents to the rat midline thalamus following immobilization stress. Neuroscience research, July 2002; vol 43, Issue 3, 269-282,
  2. Miyagi Y, Sasano T, Kin K. Hyponatremia and Recurrent Febrile Seizures During Febrile Episodes; A Meta-Analysis. Cureus, 2022 April 22; 14 (4): e24398.
  3. Miyagi Y, Sasano T, Kin K. Laboratory Findings of Benign Convulsions with Mild Gastroenteritis: Meta-Analysis. Cureus. 2023 Mar 28; 15 (3): e36784.

和文雑誌

  1. 金 憲徳;食物アレルギー、臨床医マニュアル 第5版、医歯薬出版株式会社 2014年
  2. 山崎 ゆかり、上戸 鴨子、新井 直子、座間 朋美、小川 直紀、佐藤 渚、寺田 武志、金 憲徳;麻疹院内感染対策 一般病院における空気感染(飛沫核感染)疾患対策、 小児科 第56巻 第5号(平成27年5月1日発行)

その他

  1. 静岡県牧之原市 予防接種健康被害調査委員(令和5年1月1日~)
  2. 静岡県立吉田特別支援学校 医療的ケア指導医(平成29年4月1日~)
  3. 医療法人徳洲会 榛原綜合病院小児科 非常勤顧問(令和6年11月1日~)

資格

臨床研修指導医

小児科部長からのあいさつ

2025年、EASEこども外来は新しくなります。これからのこども達が未知なるリスクと闘っていけるように。広い世界で変化の鼓動を感じながら健康的に過ごせるように。

小児科部長からのあいさつ
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一般小児科・内科

診療時間
9:00~13:00 - -
14:30~16:00 - -
16:00~18:00 - - - -

△:16:00~17:00
□:9:00~14:30
☆:知能検査(要予約)

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※11:00~13:00はEASE1000に登録された患者様を優先します
※オプシン検査・専門外来の診療時間については、「オプション検査・専門外来」の各項目を参照してください
なお、専門外来を初回受診希望の方は、必ずお電話で予約をお願いします

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